お気に入りの場所 



日暮れ迫る夕方、「帰ろうか」に「夕陽見に行く?」の問い掛け。
勿論私から出たのは「うん」の二つ返事。


工房から程近いところに、夕陽が綺麗にみえる好きな場所が幾つかあります。
その一つが柳平。
ぐるーっと360度、霧島連山は勿論、遠くの開聞岳まで見渡せる大パノラマが広がるところ。
駐車場から歩くことわずか10分でこの景色が楽しめるとは、本当に幸せ。


丘にいた先約の夫婦鹿は、私達の姿を見るなり風を切るように駆け走り、
森へ消えて行きました。
ごめんね、邪魔しちゃったかも・・・


聞こえてくるのは・・・、何もない。
耳に入るのは風の音だけ。静寂もまた愉しい。


ベンチに寝そべって、暮れそうな空を眺めてみました。
広すぎて焦点が合わない大きな空。はぁ、綺麗。

持ってきていた温かい麦茶を飲んでは、
「今月で独立して7年目に入るね」なんて他愛もない話しをしたり。

不思議なくらい時間はゆっくりと過ぎ、ふと西の空を見てみると、
夕陽も沈み、影絵の世界が広がり初めていました。

「写真撮ろう」
「写真には納まらないよ、きっと」
「・・・そうだね、多分」

次の日、撮った写真を見てみました。
ダメだ、やっぱり納まっていない。

足りないのは、カメラの腕。
そして、そこに流れていた心地よい風と草の音。

「また行けばいいね」
「うん」

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